産後の骨盤矯正について

今回は当院でよくいただくご質問の中から産後の骨盤矯正について多いものを取り上げ、その回答含めて、ご説明していきます。
これから出産を控えていたり、産後の状況にある方なら、必ずやお役に立つことでしょう。

よくいただく質問

  1. 産後の骨盤矯正ってしたほうがいいの?
  2. 骨盤の歪みの原因は?なぜ産後の骨盤矯正は必要?
  3. 帝王切開の場合は赤ちゃんが産道を通らないので骨盤矯正っていらないですよね?
  4. 産後の骨盤矯正はいつやるのがベスト?
  5. 産後のトラブルと対処法は?
  6. 骨盤矯正を受けたら、ウエストとおしりが小さくなったのですが?

では、ひとつずつ見ていきましょう。

1.産後の骨盤矯正ってしたほうがいいの?

女性の身体は、出産の時期の前後、つまり産前、産後において大きな変化があります。

「骨盤の歪み」と聞くと、多くの人は骨盤の骨がぐにゃぐにゃに捻じれたり傾いたりするイメージがあるかもしれません。しかしながら、仙骨と左右にある腸骨という骨の間にできる関節には、とても強い靱帯がついていて、その靭帯のおかげで骨自体が動いて歪むということはありません。

妊娠後期になると、かなりお腹も大きくなり、妊婦さんの身体の中では、お腹周りや奥にあるインナーマッスルが、かなり引き延ばされた状態になっています。

それが何週間も続くのですから、筋肉たちの疲労が溜まっていくのも無理はありません。

その後の出産で身体は徐々にホルモンの働きで元に戻っていくのですが、そのまま放っておくと、すべてが元には戻らないことがあるので、産後は骨盤の歪みや筋肉の回復のためにも骨盤矯正がとても役立ちます。

2.骨盤の歪みの大きな原因は?なぜ産後の骨盤矯正は必要?

骨盤の歪みの大きな原因のひとつに、体の使い方の癖による「筋肉の引っ張りあい」があります。そして、女性の場合は少し特別な場合が存在します。それが妊娠、出産です。

妊娠、出産前後は見た目に変化だけでなく、体内ではホルモンの働きも著しく変化しているので、その時期は様々な面で大きく影響を受けています。

「仙骨と腸骨の間の関節は靱帯で固定され動かない」ということを述べましたが、出産のときは別です。

赤ちゃんが通れるように出産時は、骨盤が横に広がるように「リラキシン」というホルモンが、活動します。
そのホルモンの作用により、骨盤周りの靭帯や筋肉が緩み、骨盤が少しずつ開いていきます。開いた骨盤は、通常であれば産後徐々に閉じていきますが、産後は無理な体勢での抱っこや授乳等、通常よりも身体に負担をかける体勢も多く、骨盤がズレたり歪んだりした状態になってしまったり、産前の状態まで骨盤が戻らないということもあります。

その状態を放っておくと、腰痛や恥骨痛が起こったり、体型がいつまでも戻らなかったりすることもあるなど、多くの問題が生じやすくなります。
産後の骨盤矯正は、これらの症状を緩和する効果があるといわれています。

そして、この「リラキシン」というホルモンは、出産時だけでなく生理前にも分泌されるので、その時期は骨盤を支える力が弱まり腰痛が出やすくなっています。

つまり、骨盤周囲の筋肉が骨盤を支えようとして緊張するので、その結果、血流は悪くなって痛みが強くなる、ということがあるわけです。

ですから・・・

  • 「リラキシン」の作用で女性はもともと骨盤を支える力が弱まるタイミングがある。
  • 出産時に赤ちゃんの通り道を作るため、骨盤は少し横に開く。

ということを理解しておきましょう。

3.帝王切開の場合は赤ちゃんが産道を通らないので骨盤矯正っていらないですよね?

この質問の答えはNOです。
逆に帝王切開をした方の場合のほうが、より骨盤矯正をしたほうがいいこともあります!

なぜなら、赤ちゃんが産道を通っても通らなくてもお腹が膨らむわけですから単純に筋肉は引き延ばされ、ホルモンによって骨盤の靱帯は緩み、歪みやすくなっていることに変わりはないからです。

おまけに、帝王切開の場合は、お腹やインナーマッスルを切るという手術をすることで術後の切開痕が痛み、真っ直ぐでいられない状態になります。

ですから、さらに身体を支えるためのインナーマッスルが弱っていくのです。痛みから余計に姿勢が悪くなる、ということです。

 つまり・・・

  • 妊娠中は筋肉が引き延ばされるだけでなく、出産後も疲労のために支える力がかなり弱まっている。
  • 帝王切開の場合も出産の直前までは普通分娩の場合と変わらない状態が続くので、むしろ骨盤矯正をしたほうがいい。

ということがわかります。

4.産後の骨盤矯正はいつやるのがベスト?

産後の骨盤矯正は、出産してからしばらくの間は、「リラキシン」が分泌されていますから、骨盤がまだ不安定なため、一般的には出産後体調が安定した1~2カ月後頃から始めるのがよいといわれています。

出産後半年は骨盤が柔らかく矯正がしやすく、一般的な目安は出産後半年以内が特に効果を得やすいのです。ただし産後の体調が回復するスピードは個人差があり、また、普通分娩か帝王切開かでも異なってきますし、半年を過ぎてからでも構いません。

5.産後のトラブルと対処法は?

産後の肥立ち(妊娠、出産でダメージを受けた母体が、妊娠前の元気な状態に回復するまで)が悪いと、いったいどんな症状で悩まさせるでしょうか?

  • 産褥熱

子宮や産道の傷口からの細菌感染で、39度ぐらいの高熱が続く。

  • 子宮復古不全

妊娠中に大きくなった子宮がなかなか収縮せず、悪露が長く続く。

  • 乳腺炎

母乳が乳腺内に留まり炎症を起こしたり、細菌が入って発症することもある。

ですから、出産後は少なくとも1ヶ月はしっかり身体を休める時期と考え、1ヶ月検診で問題なければ骨盤矯正を始めるようにしましょう。

その後は整体などでマッサージや矯正などをして、自分に合ったペース配分や方法でケアしていくように心がけることをおススメします。

産後のトラブル(腰痛・恥骨痛等)は、骨盤が歪んだり開いたりした状態で生活していることで起こりますが、身体の筋肉を正しく使えないことから姿勢や歩き方が悪くなります。その状態が続くと、腰痛や恥骨痛や関節痛など身体の様々な箇所に支障が出てきます。

産後の代表的なトラブル症状には下記のようなものがあります。

  • 腰痛
  • 恥骨痛
  • 関節痛
  • 尿漏れ
  • 冷え性
  • 便秘

これらのトラブルは、骨盤の歪みによる腰や恥骨などへの過度な負担、子宮や膀胱など骨盤内の臓器位置の変化、血行の悪化などが原因で引き起こされたりします。

ですから、産後は骨盤矯正をすることで骨盤を正しい位置に戻し、上記の産後トラブルも改善する効果が期待できるのです。

6.骨盤矯正を受けたら、ウエストとおしりが小さくなったのですが?

産後の体型戻しとダイエット効果に骨盤矯正は効果的です。

出産時に最大限に開いた骨盤が戻らないままでいると、下半身のサイズが大きくなって産後しばらくたって体重は減っているのに、体型がまだまだ妊婦さん状態になっていることがあります。また、骨盤が開いた状態が続くと、胃や腸などの内臓が下垂しやすい状態となり、下腹部がぽっこりと出やすくなります。

産後は骨盤が緩んだ状態にあるため、骨盤矯正をするのは、妊娠前よりも骨盤を小さくできるチャンスでもあるのです。

骨盤が歪んでいるとリンパ液や血液の流れが悪く、老廃物が溜まりやすいので代謝が悪い状態です。エネルギーが消費しにくいのですから、太る原因につながります。

骨盤矯正で筋肉がよく動くようになれば、代謝が上り、老廃物を排出しやすくなるので痩せやすくなります。

産後にしっかりと骨盤を矯正し、妊娠前よりも魅力的なスタイルを手に入れましょう。