美容鍼とニキビの関係

東洋医学でいう「にニキビ」とは?

私たちのお肌にできるニキビや吹き出物は、東洋医学で”粉刺(ふんし)”と呼ばれています。

毛嚢(もうほう)皮脂腺(ひしせん)の炎症、つまり、毛穴に詰まった細菌が原因の皮膚疾患の1つです。

私たちのお肌には”皮脂(ひし)”と呼ばれる油がありますが、これが余分に出てしまったり、毛孔(もうこう)が角化して上手く分泌できないと、炎症が生じて、ニキビや吹き出物となります。

顔にできるものが一般的ですが、背中ニキビなどの名称もあるように、頭皮、胸、背中、肩などにも発症することがあります。

ニキビの出来てしまう過程とは

ニキビが発展する過程には、

①丘疹(きゅうしん)

②膿皰(のうほう)

③結節(けっせつ)

④瘢痕(はんこん)

⑤痘痕(あばた)

などといった段階があり、その段階に応じて適切なケアが必要です。

ニキビや吹き出物に良いとされる美容鍼についても、現状の段階をみて、施術内容を決めていきます。

多くの方の悩みのタネともなるニキビや吹き出物は、”湿熱”の多い人ほどなりやすいといわれています。この湿熱というのは、簡単にいってしまうと、体内の余分な熱であり、甘いものや脂肪分の多いもの、味の濃いものを過食すると溜まりやすく、食生活と大きな関わりがあります。

この湿熱は、体内でも上半身に集まりやすいです。

これは、部屋の温度と同じで、温かい空気ほど上にあがるのと同じ原理です。

ニキビが顔にできやすいというのも同じ理由で、ニキビは上半身にできることが多いです。

また、ストレスや生活習慣の乱れでも、皮膚に大きく影響し、ニキビができることがあります。

悩みごとを抱えている時、疲れが溜まっている時、睡眠不足の時などは、とくにニキビができやすいというのは、感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

ニキビの種類

ニキビの原因菌は、”アクネ菌”と呼ばれるものです。

このアクネ菌は、皮膚にもともと存在するもので常在菌の1つですが、過剰に増えすぎてしまうと皮膚に炎症を起こします。

西洋医学においては、”尋常性痤瘡”といい、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビと
進行し、進行するほど完治しにくく、ニキビ痕が残りやすくなります。
・白ニキビ
初期の段階は白ニキビと呼ばれるもので、毛穴に皮脂といった分泌物が溜まっている状態
です。薄い皮膜に覆われて閉じているため、白くプツっとしたような発疹ができます。
・黒ニキビ
白ニキビが進行すると皮脂が盛り上がって穴が開きます。酸化した皮脂やメラニン色素に

よって、黒っぽく変色している状態です。
・赤ニキビ
毛穴に詰まっている皮脂に雑菌や細菌が付着して増殖し、炎症が起きて膿が溜まっていま
す。患部の周囲は赤く腫れ、痛みます。赤ニキビまで進行すると、ニキビ痕が残ることも
あるため、注意したいところです。
・黄ニキビ
赤ニキビからさらに炎症が進むと、ニキビの中心に黄色っぽい膿が出てきます。
同じ「ニキビ」でも、上記のように進行具合は大きく変わり、適切なケアも異なりますの
で、まずは今現状がどのニキビなのかを知ることも大切です。


ニキビが悪化するのは何故か?


ニキビの原因は、皮脂分泌量の増加、毛穴の詰まり、そしてその中でアクネ菌と呼ばれる
細菌が増えてしまうことにあります。
皮脂分泌量の増加の原因は、男性ホルモンの分泌に大きく関連します。
女性の場合、生理前に肌トラブルを抱える方が多いですが、これは、生理前に分泌量が増
えるプロゲステロンが男性ホルモンのようなはたらきをするからです。

通常増加した皮脂は分解されて遊離脂肪酸となりますが、この分解が上手くいかないと毛
穴の出口が詰まり、白ニキビの状態になります。


毛穴の中のアクネ菌は、嫌気性菌と呼ばれる酸素を好まない菌です。酸素のない詰まった
状態は格好の住処となり、増加して炎症を生じさせます。
この増加を止め、菌を減少させるために体内では、白血球の1つである好中球が集まり、
活性酸素を放出します。これが、ますます炎症を強めることとなり、赤ニキビへと進行し
ていきます。


赤ニキビの毛穴の炎症が毛穴の周囲にまで大きく広がると、アクネ菌を退治していた好中
球等の壊れた組織が膿として溜まり、黄ニキビとなります。
ニキビの炎症が続くとメラノサイトも活性化して、シミのような痕も残りやすくなるため、なるべく早期に治療をすることが大切です。


微小面皰(マイクロコメド)


ニキビになりやすいと感じている方は、白ニキビになる前段階の微小面皰に注意しましょう。
”微小面皰”のうちは、まだ、ニキビではなく、予備軍です。
毛穴が詰まりつつあり、皮脂が徐々に溜まってきているので、この段階で早めのケアをするのがニキビを悪化させないこと、ニキビ痕をつくらないことに繋がります。
微小面皰の後は、白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビと徐々に進行していきます。

進行するほどに、黒っぽく色素沈着が生じてしまったり、瘢痕やクレーターといったお肌
の凹凸ができてしまうこともありますので、十分注意してください。


では具体的にどのようにすれば、微小面皰のうちにケアできるのかというと、1番大切な
のは生活習慣の見直しをすることです。
とくに、「食生活」、「睡眠」、「ストレス」の3点は、ニキビ予防に必須ともいえます。


皮脂分泌量のコントロールは目に見えにくく改善が難しいものですが、この3点に気をつ
ければ、確実にニキビができにくくなります。
また油汚れがニキビの大きな原因になるため、コスメも油分の少ないものをおすすめして
います。
例えば、クリームタイプやリキッドタイプの化粧品はとても使い勝手が良いですが、パウ
ダータイプの方が油分が少なく、ニキビ予防に向いています。
最近では、ニキビ対策のできる”ノンコメドジェニック化粧品”も多く市販されていますの
で、それらを取り入れてみるのも良いでしょう。


ニキビ痕について


ニキビになるのは仕方ないとしても、ニキビ痕ができてしまうことだけは避けたいもので
す。
炎症が強くなった赤ニキビや黄ニキビの痕は、綺麗には治りにくいです。肌に凹凸ができ
てしまうこともありますので、炎症が悪化しないようにするのがとても大切です。
また、シミのような茶色~黒っぽい痕が残ることもあります。
これはいわゆる色素沈着(PIH)です。
赤い痕については、ニキビ痕を治すために血管が多く集まり、肌を通して見えているだけ
の場合がありますが、色素沈着の前段階ともいえるので、合わせて注意したいところです。


色素沈着は、炎症によってメラニン色素をつくるメラノサイトが活性化することが原因で
す。
そのため、炎症が進まないうちになるべく早く治療することが大切です。
また、手に付着した雑菌や細菌が原因で悪化することもあるため、触れないことも重要で
す。
さらに「ニキビは潰すと早く治る」なんてこともいわれていますが、これは間違いです。
化膿してしまったり、細菌が入ったりすることで余計に悪化してしまいますので、潰すこ
とのないようにしてください。


◎ニキビ対策に有効な低GL食


日本では「GI値」を指標の1つとしていますが、アメリカ等ではさらに進めた「GL値」(グリセミック指数)というものが取り入れられています。
具体的に「GI値」は、「その食品に含まれる糖質量が50gになるまで食べた時」が数値化されていて、ニンジンの場合は、約4本となりますが、なかなか4本を食べるのは困難です。そこで新たに誕生したのが「GL値」です。


「通常の1人前の食事中にそれぞれの食材がどのくらい血糖値をあげるのか」を数値化したものです。
ニキビは体内の炎症が原因ですので、肌の外側からのケアだけではなく、内側からのケアも重要も考えられています。
先述の通り、とくに食生活の乱れが原因となることも多いため、このGL値の低いものを摂っていただくことで、ニキビや吹き出物の改善に繋がります。
例えば、大麦のGL値は、白米の1/2以下といわれていますので、白米を麦ごはんにすることで、食事量は減らさず、GL値のみを下げられます。
今までのGI値という概念を見直し、GL値を重要視することで、ニンジンのような食品も再評価されやすくなります。


スイカのGI値は72ですが、水分がとても多いので、食べ過ぎは禁物ですが、血糖値の急激な上昇は避けられます。GL値でみると、たったの6.8です。
同じようにいちごもGI値では40あるのに対し、GL値は3.6です。
このような食品は意外にも多く、今後はGL値を考慮した食生活への改善がニキビ対策に有効であると考えられています。
実際、18~25歳のニキビに悩んでいる患者さまを対象に12週間の調査をしたところ、「低GL食を食べながら治療をした半分のグループ」は、「基礎治療のみのグループ」と比べて、大幅にニキビが改善したという研究報告もあります。


美容鍼がニキビに良いとされる理由


創傷治癒(そうしょうちゆ)という言葉をご存知でしょうか?
創傷治癒というのは、私たちが本来持っている自然治癒力のことで、鍼によって見えない傷(マイクロトラウマ)をつけることで、肌に刺激を与え、真皮層の繊維芽細胞の活性化、コラーゲンやエラスチンの生成を促すことができます。


これにより、ニキビの改善が可能です。
肌に炎症が生じている状態は、ターンオーバーの乱れ、コラーゲンやエラスチンのバランスも崩れているといえます。ここに美容鍼で、創傷治癒の力を引き出すと、少しずつニキビがよくなってくるというしくみです。
思春期以降にできるものを”大人ニキビ”といいますが、大人になってできる吹き出物は内臓の不調やストレスが原因となることもありますので、身体の中から治療していくことをおすすめしています。
例えば、ニキビに加え、腸や胃の不調がある方は美容鍼でそれらの施術をすることで、ニキビに良い効果をもたらすことがあります。