生理痛の原因

浦安セドナ鍼灸治療院の大谷です。

多くの方生理についての質問が多くあったのでご説明いたします。

生理痛があって当たり前、我慢しないといけないと思っていませんか?

生理痛を正しく理解することで、腰痛や肩こり、頭痛まで良くなることが多くあります。

当院に来院されている方の多くが、肩こりの施術をしたら生理痛が楽になったという声を沢山いただいております

生理痛の原因

悩んでいる女性が多い「生理痛」は、痛みの程度や痛む場所、現れる症状が女性によって異なります。そのため、ひと言に「生理痛」といっても、それぞれの女性が別々の生理痛を経験しているといっても過言ではありません。

生理痛の痛みは、人に伝えることが難しいものです。

多くの女性が経験しているため、「生理痛は毎月起こることで病気じゃない」、「痛むのはいつものことだから、気にしていられない」と、つい我慢していませんか?

大丈夫だと思っても、生理痛は別の病気の前触れである可能性があります。生理痛の原因は様々で、現れる不調も時期によって異なりますが、原因を理解することで、より適切に対処することができます。

時期によって異なる生理痛の不調と原因

時期によって不調の原因や症状が変わる生理痛は、それぞれの特徴を知っておくと対処がしやすくなります。どのような特徴なのか、早速見ていきましょう。

生理前(月経前)

排卵後から生理前は、女性ホルモンのひとつである「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の分泌が増加します。黄体ホルモンは乳腺の発達や体温上昇、体内の水分を引き出す働きがあるもの。この影響を受けると自律神経が乱れて、頭痛や腹痛、イライラなどを感じやすくなったり、乳房が痛む、下半身がむくむ、だるさといった症状も起こりやすくなります。

このように、生理の1~2週間前に起こる症状のことを総称して「月経前症候群(PMS)」と呼びます。

生理痛で不調を感じる原因

生理痛で不調を感じるのは、黄体ホルモンが深く関係しています。黄体ホルモンは卵巣から分泌される女性ホルモンで、受精卵が子宮内膜に着床する準備をしたり、乳腺からの乳汁の分泌をサポートします。

【生理直前~生理前半】起こりやすい症状

生理直前~生理前半はイライラや頭痛、胃痛、乳房通、肩こり、だるさ、集中力の低下などが起こりやすくなります。

これは生理の直前から前半にかけて体内で増えるプロスタグランジンという物質によるもの。プロスタグランジンは子宮の収縮を促し、生理の経血を体外へ排出するのをサポートする物質です。プロスタグランジンの量が多いと収縮する力が強くなり、「生理痛」となって痛みが生じるのです。プロスタグランジンは血管を収縮させるため、腹痛やだるさ、冷えを感じやすくなります。時には胃腸の働きにも影響を与えてしまうことも。この場合は、吐き気や下痢といった症状が現れます。出産時の陣痛も、このプロスタグランジンが原因で発生します。

プロスタグランジンの量が多い女性ほど生理痛を感じやすいので、生理痛を日頃から感じることが多い女性は、生理痛がない女性と比較すると、子宮内膜や経血に含まれるプロスタグランジンの量が多い傾向があります。

【生理直前~生理前半】痛みの原因

ご紹介した通り、生理直前や前半に痛みを感じるのはプロスタグランジンという物質によるものです。これは、ホルモンと似たような作用がある生理活性物質で、子宮を収縮させて子宮への血流も減少させます。一方で、子宮の神経を敏感にさせるので、痛みを感じやすくなります。他にも免疫やアレルギー、睡眠にも関係することが分かっています。

【生理後半】起こりやすい症状

生理後半はキリキリとした痛みや下腹部の鈍痛、めまい、吐き気、下痢、うっ血が起こりやすくなります。うっ血とは、血液の流れが滞ること。生理中は骨盤周辺の血液の流れが悪化しやすくなり、そのため下腹部の鈍痛や腰回りの痛みが起こることもあります。

軽い生理痛なら、生活習慣を改善することで症状が緩和されます。

湯船に半身浴してじっくり身体を温めたり、血行を改善する食事を摂るように心がけていきましょう。

【生理後半】痛みの原因

生理後半になると、うっ血により、下腹部に鈍痛を感じることもあります。

また、現在は女性のライフサイクルが変化していて、セルフケアではコントロールできない生理痛を感じる女性も増えています。初経年齢や出産数が低下しているだけではなく、晩婚化も進み、出産年齢が上昇していることも生理痛に悩む女性が増えている要因だと考えられています。

東洋医学的な生理痛の考え方

東洋医学では、気と血(けつ)の流れ、量が深く関わっていると考えられています。血の流れについては、「不通則痛」という言葉があり、これは体内の流れがスムーズではないと、痛みが生まれるという意味です。気や血がスムーズに体内に流れている状態が健康、滞ってしまうと痛みなどの不調を感じやすくなります。

血の量については、「不栄則痛」という言葉があり、これは健康に必要な気や血が不足すると、痛みが生まれるという意味です。このように、気や血がサラサラと体内に流れているだけではなく、量が足りないことも痛みの原因となってしまうのです。

生理(月経)は、「衝脈(しょうみゃく)」と「任脈(にんみゃく)」という体を巡る2つの経脈が深く関わっています。どちらも生殖器を中心に広がる経脈で、衝脈は五臓六腑の気血を整えています。この衝脈を通って子宮から出る血液が「月経」です。

任脈は子宮や妊娠と深く関わっている経脈のことで、これらの2つの経脈の巡りが悪くなったり、量が不足すると生理痛が起こります。

東洋医学における生理痛の「証」は次のようなものが挙げられます。

①「不通則痛」の証

「不通則痛」の証は主に3つあります。

・「肝鬱気滞(かんうつきたい)」証

「肝鬱気滞」証は、生理痛だけではなく月経前症候群(PMS)が強い傾向があります。

肝は五臓のひとつであり、体の諸機能と情緒を安定させています。この働きを「疏泄」(そせつ)」と呼びます。「肝は血を蔵す」という言葉通り、肝は血を溜めて循環させる臓腑です。この肝の機能が正常に働いていない体質が「肝鬱気滞」です。この証は、緊張やストレス、情緒の変動などにより肝気の流れが悪化することで生理痛に繋がります。肝鬱気滞では、生理直前~生理前半にかけて下腹部が痛みます。この場合、東洋医学では鍼灸で肝気の状態を和らげて流れを整え、生理痛を緩和していきます。

・「血瘀(けつお)」証

「血瘀」の証は、ストレスや体の冷え、体内の水液が多くなっている、生理機能が低下する、といったことが原因で生じます。元々疾患があったり、慢性的な体調不良などで血流が悪化すると、この証になります。血瘀では血の流れが悪化しているため生理痛が生じやすくなります。生理が始まると下腹部が痛み、経血量が減るのと合わせて痛みが軽くなります。血瘀の証の時は、鍼灸を用いて血行を促進していきます。

・「気滞血瘀(きたいけつお)」証

気と血、両方の流れが滞っている状態のことを「気滞血瘀」といいます。この場合は、鍼灸で肝気の状態を和らげて流れをスムーズにし、血行を促進していきます。鍼灸でうっ血を取り除くことで、生理痛の治療に繋げていきます。

②「不栄則痛」の証

次に、「不栄則痛」タイプの証について詳しくご紹介していきます。

・「気血両虚(きけつりょうきょ)」証

生理中や生理の後半に下腹部がじんわり痛むなら、気血の量が足りないのかもしれません。

気血両虚は、「気虚」と「血虚」が同時に起こっていることを現す証で、「気虚」は生命エネルギーの源である「気」が不足している状態のことです。疲労や睡眠不足、慢性的な疾患などがあると気が消耗しやすくなり、気血両虚となります。治療では、気血を補うツボを使い、生理痛を根本的に改善していきます。

・「寒凝(かんぎょう)」証

「寒凝(かんぎょう)」証で生理痛が起きている場合、お腹を温めると痛みが和らぎます。寒凝は元々冷え症の方、冷たい飲み物などを飲んで体が冷えている、軽装や寒い環境で仕事や生活をしている、などで寒冷の性質を持つ寒邪(かんじゃ)が体内に入り、衝任脈に侵入して経血を滞らせて、生理痛が起こります。寒凝の証では、生理前や生理中に下腹部が痛むのが特徴です。治療では、鍼灸で体内を温めて血行を促進し、生理痛を緩和させます。

・「湿熱(しつねつ)」証

生理になる前や生理の最中に、熱い痛みを下腹部に感じるなら湿熱の証です。湿熱とは、過剰な温邪と熱邪が結合した状態のこと。脂っこいものや濃い味のもの、刺激物、アルコール類、生もの、清潔ではないものなどを日常的、もしくは大量に摂っていると、この証になりやすくなります。湿熱の証の生理痛は、湿熱邪が衡任脈に滞ることで生理痛が生じます。治療する際は、鍼灸で湿熱を取り除き、改善へ繋げていきます。

・「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」証

生理後に下腹部に痛みを感じるなら「肝腎陰虚」の証である可能性があります。

肝は「血を蔵す」機能があり、血を溜めて循環させます。腎は気や血の源ともいえる「精(せい)」を貯蔵し、人の成長や発育、生殖、水液、骨をつかさどります。精から血を生み出す臓腑なので「腎は血を生ず」といい、腎と肝は深く関わっています。肝腎陰虚の証は、疲労や不摂生な生活、慢性的な体調不良、大病、加齢などが原因となり、肝腎の陰液が減少することで生じます。さらに月経になって肝腎の陰液が無くなると、生理痛に繋がってしまうのです。