東洋医学の「養生」

東洋医学の特徴の一つに、「病気にならない体づくり」を追求し、その実践を勧めているという側面があります。

中国伝統医学の書である「黄帝内経・素問」は、人間の身体のしくみや病理、治療の仕方などをまとめて解説している最古の医学書だと言われています。

その「黄帝内経・素問」の中で、「養生」についても詳細に記されています。

季節に合わせた生活の仕方、食事の内容や食べ方、労働や睡眠のバランス、娯楽や趣味の取り入れ方、精神のあり方等が人間の健康に大きな影響を及ぼすことを説いています。

「飽食や大きな刺激を受けたり、過度の労働をすることで疲れてしまう。春夏秋冬、陰陽の変化の中にあって人間が病気になる原因は、体力の使用、飲食、労働、精神の使用を過度に行うことにある」

つまり、無理をしないで、身体と心を大切に生きれば健康な状態での長寿は可能です。

欲望のままに暴飲暴食をしたり、毎日のように残業をして働きすぎてしまったり、夜更かしや生活リズムの乱れから夜に寝られずに睡眠不足、といった生活をしていると五臓六腑が疲れてしまい、病気になりやすい身体になり、健康寿命はどんどん短くなってしまいます。

寿命だけが延びて健康寿命が延びない現代人にこそ養生は必要なのです。

そして物があふれている時代だからこそ、節制と摂生に努める生活が必要なのです。

「黄帝内経」が作られた時代の中国では、不摂生やぜいたくな暮らしができるのは一部の特権階級の人だけでした。

しかし、現代の日本は不摂生やぜいたくな暮らしができる人がはるかに多いほど豊かになりました。

だからこそ養生を心掛けて生活をしないと、身体と心を健やかに保つことが難しい時代だともいうことが出来るのです。

「黄帝内経・素問」では、身体と心の関係についても述べられています。

「七情(喜、怒、思、悲、憂、恐、驚)の動きが過ぎると、臓腑を傷つけ病気になる」と記されているのです。

精神も安らかで静かに、貪欲になりすぎず、あらぬことや余計なことを考えすぎないこと。

その様な心の持ち方で生活をしていると、気持ちが穏やかで調和がとれ、気力も充溢されるので、病気の原因襲われても負ける事がなくなると言われています。

私たちが生きる現代社会では人体に刺激になる物が身の回りに溢れ、化学的ストレスは昔に比べてはるかに多くなってしまっています。

ですが精神的に安定し、養生を心掛けた生活で心と身体を日頃から守っていれば、そのような環境の中にあってもストレスに堪えられるようになります。

心と身体を守るためにも、季節や月のリズム、自然の時間に合わせたライフスタイルで生活し、季節のものを中心に適度に食べ、適度に働き、質の良い睡眠をとることが重要になります。

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