不妊と自律神経の乱れ

「不妊治療をしているけど、中々妊娠できない」

「結婚して数年、なかなか妊娠しない」

と不妊に対する悩みはさまざまです。

不妊外来に通って検査しても原因がはっきりしない場合も多く、説明を聞いても良くわからないと多くの声を頂きます。残念ながら体外受精を試みても妊娠に至らない場合もあるのです……。

実は東洋医学の鍼灸施術は、病気以外の不妊の原因と考えられている冷えやストレスを軽減し、不妊にも効果が期待できるのです。

そこで今回は、不妊とストレスについて解説します。

鍼灸で体質改善すれば、妊娠につながる可能性が期待できますよ。

不妊の定義とは?

WHOが定める不妊症の定義は、男性または女性の生殖器系の病気であり、12ヶ月以上の定期的な無防備な成功の後に妊娠を達成できないこととしています。

参考:WHO  Infertility

また、以前は2年とされていた不妊の定義も現在では、

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」

出展:日本産婦人科学会

としています。

定義が定まっている不妊。女性にそもそも排卵がない場合や子宮内膜症を合併している場合なども妊娠しにくいとされています。

不妊の定義を満たさなくても「不妊の兆候がある」として、治療を開始する場合もあります。


 

不妊が起こる一般的な原因

不妊は原因がはっきりしないことで不安になってしまいますよね。ここでは不妊が起こる一般的な原因について解説していきます。

女性側にある主な原因

女性側の原因として具体的には、以下の通りです。

  • 排卵因子:ダイエットやストレスによる無排卵、高プロラクチン血症など
  • 卵管因子:卵管閉塞・狭窄、卵管癒着・卵管周囲癒着、卵管水腫など
  • 子宮因子:子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形など

男性側にある主な原因

男性側の原因として具体的には、造精機能障害・精路障害・射精障害などが考えられています。男女ともに加齢によっても、妊娠の可能性を低下させることがわかっているのです。

具体的には、女性は30歳をすぎたあたりから、妊娠の確率が減少しはじめ35歳をすぎると明らかに低下してしまいます。その理由は子宮内膜症などの合併症が増えてくるからです。男性は女性に比べるとゆっくり下降していきます。

ストレスが不妊の原因って本当?

脳の視床下部は自律神経のバランスをつかさどっており、女性ホルモンをコントロールしています。つまり、ストレスにより自律神経のバランスが乱れれば、無排卵月経になる可能性が大きいのです。ストレスは、精神的ストレスと身体的ストレスがあります。

精神的ストレス

何かに対して不安や心配を感じたり、恐怖や緊張を感じたりするのが精神的ストレスです。妊娠しないことで不安や心配が多くなると、強く緊張してしまい結果的に悪循環になってしまう場合もあります。

身体的ストレス

ストレスと聞くと精神的なストレスをイメージする方も多いのではないでしょうか。ストレスには身体的に感じるものもあります。たとえば暑さや寒さといった気候的なもの。疲れや痛み、病気やけがなども身体的ストレスと言えます。

ストレスは悪いものばかりではない

ストレスは悪いものというイメージが定着していますよね。ですが、よい出来事などの緊張もストレスのひとつです。具体的には就職や昇進、入学や卒業などの出来事など。よい緊張感は張り合いになるため必要です。

東洋医学からみる不妊

東洋医学において「気・血・水」のバランスが崩れると、五臓六腑(内臓)の不調や自律神経の乱れがさまざまな不調になって現れると考えられています。

具体的には、下記のような症状が起こりやすいとされています。

  • 気虚:体力の低下……息切れや倦怠感など
  • 気逆:気の逆流……イライラや不眠、動機やめまいなど
  • 気滞:ストレス……憂鬱など
  • お血:血の流れが滞る……生理痛や生理不順、頭痛や肩こりなど
  • 血虚:血の不足……貧血、めまいなど
  • 水滞:水分の滞り……だるい、むくむなど
  • 津液不足:体液の不足……声がれ、肌の乾燥など

不妊についても同じで、血の状態をよくすることにより、生殖器系の内蔵機能を高めていくことが重要です。また身体の冷えやストレスも、不妊の原因になっている可能性があります。冷えやストレスは交感神経の働きを上昇させ、副交感神経の働きを低下させるから。結果的に自律神経のバランスを崩し、血が滞ることになります。生殖器系の内臓への血流が不足してしまうと妊娠がむずかしくなるのです。

しかし最近の研究結果では、鍼灸施術が不妊に効果的であると結論づけています。

2002年にドイツのヴォルフガングパウルス医学博士が行った研究では、160人の体外受精もしくは顕微授精を受ける 21歳から 43歳の女性患者を対象に胚移植の際に鍼灸を受けることで妊娠率がどのくらい違うかを調べている。この研究では、胚移植を受ける前と受けた後に 25 分ずつの鍼灸施術を受けた女性の妊娠率は 42.5%だったのに対し、まったくこれを受けなかった

女性の妊娠率は 26.3%であり、移植前後に鍼治療を受けると、妊娠に効果があると結論づけている

出展:不妊治療と補完代替医療の関係性-米国の現状を概観して 

参考:Influence of acupuncture on the pregnancy rate in patients who undergo assisted reproduction therapy


 東洋医学の鍼灸施術が不妊に効果的な理由

具体的に東洋医学の鍼灸施術が、不妊に効果的な理由を解説します。

冷えを改善させる

ツライ手足の冷え。実は自律神経の乱れからくることが多いのです。交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで自律神経が乱れ、さまざまな症状を起こすことがわかっています。

冷えもそのひとつ。とくに女性は骨盤内に子宮や卵巣などの生殖器系内臓があり、複雑な構造から血が滞りやすく冷えやすいのです。鍼灸施術で血の流れを改善させることで、身体の芯から温め冷えにアプローチします。

ストレスを軽減させる

鍼灸施術はストレスを軽減させる効果が期待されます。というのも2010年から2011年にかけて行われた研究において、精神的ストレスを鍼治療によって緩和させる効果があると証明されたからです。


鍼治療には不妊患者が抱える緊張や不安、抑うつ、落ち込み、怒りや敵意、混乱すると言った精神状態を緩和させる効果があることが明らかになった

出展:不妊女性の精神的ストレスに対する鍼治療の有用性 田口玲奈


 女性が感じる強いストレスは、無排卵になる可能性があることがわかっています。鍼灸施術で自律神経の乱れを整えることで、ストレス軽減につながりよりよい状態にすることができると言われています。

体質を改善させて妊娠につなげよう

身体の主立った病気がなければ、不妊の大きな原因はストレスと冷えだと考えられます。

ストレスや冷えを改善させるには、東洋医学の鍼灸施術が効果的なのもわかっているのです。さらに身体のゆがみに対して適切な処置を行うことで、骨盤底筋の動きを整え子宮や卵巣といった生殖器系内臓への血流にアプローチ可能です。

不妊治療はストレスがともない、ストレスがストレスを生んでしまう悪循環では、ゴールが遠のいてしまいます。

セドナ鍼灸治療院では、心に寄り添いながら妊娠につながるための、体質改善や体力づくりへの施術を行えます。今までも不妊に対するたくさんの悩みに向かい合ってきました。妊娠につなげるために体質から改善していきましょう。

ぜひ一度セドナ鍼灸院へご相談ください。お待ちしております。