ココロとカラダを元気にする東洋医学 冷え性①
- 成人女性の約半分が「冷え性」‐その原因は?
浦安市セドナ鍼灸治療院の大谷です。
当院に来院してくださるほとんどの方に見られる症状が「冷え」です。顔が火照っていても足や背中が冷たい方や、舌だけが冷たい方など様々です。
冷え性とは自身の体感温度と実質の体温が異なる、あるいは気温の温度とは関係なく体温が冷えている感覚がある、そんな自覚症状のことをいいます。
暑い夏の時期でも手足の末端部分や腰といった身体の一部が冷えている、寒い、という感覚のある人は、冷え性を患っていると思ったほうがいいでしょう。
日本ではおよそ半分の成人女性が冷え性の自覚を持っている、といわれています。
特に近年では年齢に関係なく、若い女性でも冷え性に悩まされている方が増えているそうです。
なぜ冷え性になってしまうのか?
それには普段の生活習慣が大きく関係していると考えられています。
例えば、次の項目に心当たりはありませんか?
- 冬に、腕や足などの露出の多い服をよく着ている。
- 夏に、冷房の設定温度を低くし、睡眠中も冷房はつけっぱなしにしている。
- 冷たいジュースやアイスコーヒー、アイスクリームなどをよく食べる。
- 朝食抜きの生活。
- 夜更かしや運動不足など、生活のリズムが不規則。
- 科学繊維の肌着を常に着用している
- 外食が多い
上記の生活習慣がなぜ冷え性を引き起こすのか、その理由を東洋医学で説明すると、
- 上6つは外在の寒性的邪気が体内に侵入する原因となる。
- 7つ目体内を直接冷やす原因となる。
となります。
これらの内外の因子により、身体を温める機能を持つ陽に損傷を受けたり、気血の流れを阻まれたりした結果、冷え性を引き起こすというわけです。
- 西洋医学では病気ではない冷え性。一方2000年前から治療法を確立していた東洋医学
冷え性については、西洋医学では病気として扱われず、単に一種の自覚症状(不定愁訴)に過ぎないと考えられています。
一方の東洋医学では、冷え性の原因には気血の流れや臓腑の状態のアンバランスな状態が潜在していると考えられ、治療すべき疾患とみなされています。約2000年前に成書された古典医書『傷寒雑病論』にはすでに「手足寒」(しゅそくかん)、「厥冷」(けつれい)、「腰中冷」(ようちゅうれい)など、様々な冷えの症状とそれを治す処方(漢方薬)について記載があります。
- 冷え性は放ってはいけない
冷え性は冷えに悩まされるだけではなく、放っておくと様々な症状や病態の基礎となります。
例えば―肩こり、頭痛、不眠症、肌荒れ・しみ・そばかす、便秘や下利、免疫力の低下、むくみ、生理不順、生理痛、不妊症、更年期障害-などが挙げられます。
この中で特筆すべきものは一つに免疫力の低下と、もう一つは自律神経失調症です。
■免疫力の低下
前述したように冷え性になるとその身体は気血の流れが悪いために、免疫を担う免疫細胞が働きにくい環境です。活性化もしづらいので、免疫力が低下するのは当然です。
■自律神経失調症に伴う不妊
近年では不妊という問題も自律神経が原因の一つだといわれています。
女性が妊娠に至るには各種女性ホルモンの活発かつ正常な働きが求められます。その女性ホルモンの働きによって子宮、卵管、卵巣が妊娠に向かって働くためには、よい血流が必要不可欠です。
特に腰が冷えてしまうといけません。骨盤の中には子宮や卵巣といった臓器がありますから、腰の冷えが骨盤を通って臓器の血流も悪くしてしまい、結果的に妊娠しにくい身体になってしまいます。
このように、冷え性はただ冷えるだけの自覚症状だけにとどまらず、場合によって様々な全身症状を引き起こしたり、深刻な病態につながったりするので、決して放ってはいけません。
実際、生理不順や生理痛、不妊症、更年期障害などのために鍼灸院に訪れる女性の体質をチェックしてみると、冷え性である方がとても多いのが臨床での実感です。
そしてほとんどの方は冷え性をも改善されると、それらの疾患も快方に向かうのです。
では次回、冷え性の予防と改善のお話をいたします。
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