自律神経と難聴

突発性難聴は、文字の通り、突然耳が聞こえなくなる原因不明の病気です。具体的には、耳の中にある「内耳」から、「脳」に上手く音が伝わらない状態を指します。

あの日突然聞こえなくなることが多いのが、この病気の特徴です。また、1度なると、改善や悪化することがないことや片方の耳に起こることが多いのも特徴といえるでしょう。

難聴の原因は明らかになっていませんが、ストレスや睡眠不足、過労の他、糖尿病等の基礎疾患がある患者さまに多いといわれています。

今回は、この突発性難聴について詳しく紹介するとともに、聴力を回復するために鍼灸や整体、頭蓋骨整体で良くなった方の例を参考に施術方法をお伝えしていきます。

◎突発性難聴の原因と症状

一般的に50~60代の方に多いとされている病気ですが、例をみても分かるように、若い方でも発症します。

難聴の程度は個人差が大きく、全く聞こえない方から、耳が聞こえにくくなった方、高音のみ聞こえない方など、さまざまです。聞こえにくくなっていることに気付かないまま、時間が経過してしまうケースも少なくありません。

また、突発性難聴の前後に耳鳴りやめまい、吐き気が出ることもありますが、これらの症状は1度きりで何度も繰り返すことはありません。

症状の原因は定かではありませんが、耳の中から音の振動を電気信号に変える役割を持つ有毛細胞が何らかの原因で傷害されることが有力視されています。ウィルス感染や内耳血流障害が直接的な原因として考えられることが多いです。

◎耳の構造と音が聞こえる仕組み

耳は外側より、「外耳」、「中耳」、「内耳」と3つに分けられます。

外耳は耳介と外耳道よりできた部分で、外耳の奥に鼓膜があります。

鼓膜より奥が中耳で、骨に囲まれている小さな部屋(鼓室)があります。鼓膜と内耳を結ぶように耳小骨があり、耳管によって鼻の奥の鼻咽頭と繋がっています。

内耳はさらに奥の部分で骨に覆われています。

音を聞くために重要な役割を持つ蝸牛平衡感覚司る前庭、三半規管などがある部分です。そして、内耳の中にはリンパ液という液体で満たされています。

突発性難聴の原因ともされる有毛細胞は、蝸牛にあり、1つ1つの細胞に聴神経の終末部分がついています。

音は物理的に表現すると、空気を通して伝わる圧の変化(粗密波)です。音が外耳に入ってくると、この圧の変化で鼓膜が震えます。鼓膜の振動は、耳小骨の振動となり、内耳へも伝わります。

振動は耳小骨を伝わる時に大きくなり、(中耳の音圧増強作用)内耳に達すると、リンパ液や有毛細胞も振動します。

連鎖的な振動が刺激となり、細胞から神経伝達物質が出て、聴神経を興奮させ、活動電位と呼ばれる電気的インパルスが発生します。これが音の電気信号で、このようにして脳に音が伝わっていくのです。

つまり、耳というのは、音を振動として捉え、内耳で電気的にエネルギー化することで初めて聞こえるようになります。

ちなみに、外耳と中耳は音を増強して伝える期間ですので、伝音系器官と呼ばれることもあります。

内耳は聴神経を通って、大脳の聴覚中枢まで伝わるので、感音系器官とも呼びます。

少々難しい内容ではありますが、難聴を理解する上では重要な部分です。

◎難聴の種類

難聴は、異常が出ている部位によって「伝音難聴」と「感音難聴」に分けられます。

まずは、それぞれの難聴についての特徴をみていきましょう。

<伝音難聴の特徴>

・内耳に伝える力が落ちているため、聞こえが悪くなる

・耳栓をした時のようなこもった音の聞こえ方になる

・大きい音になるほど、聞こえやすくなる

・高度の難聴になることは少ない

急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎、耳硬化症、耳垢栓塞、重症度の外耳道炎などの病気が原因で生じることが多い

<感音難聴の特徴>

・音の分析機能が落ちるため、歪んだ音になりやすい

・チューニングが少しズレているような聞こえ方になる

・音を大きくしても聞き取りやすさに違いが出にくい

・音が出ていることは分かるが、会話の内容などが聞き取りにくい

・高度の難聴や全く聞こえなくなることもある

・突発性難聴の他、メニエール病、騒音性難聴、薬剤性難聴、遺伝性難聴、加齢性(老人性)難聴などの病気の他、脳神経腫瘍などの脳の病気が関連することもある

・脳血管障害が影響する突発性難聴について

「突発性難聴」の原因として近年増えているのが、ウイルス性のものやストレス性のものです。また、風邪等によって高い熱が出ることが原因で発症するケースも増えてきています。

さらに、くも膜下出血や脳溢血が原因で突発性難聴になることもあります。

中耳炎や内耳炎等のように耳の中の炎症が聴覚神経まで拡大し、難聴になることも十分に考えられるなど、原因は意外と多岐に渡ります。

・ステロイド依存性感音難聴について

感音難聴の中には、「ステロイド依存性」のものもあります。これは、免疫異常に関連した両側進行性難聴として考えられていて、一定の副腎皮質ステロイドを投与していないと耳が聞こえなくなり、高度~重度の難聴になることもあります。

この場合の聴力は、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤を投与することによって改善できるため、「依存性」と呼ばれますが、難聴になる原因には、免疫異常が関係することもあるため、十分な検査が必要となります。

◎中医学における突発性難聴

「耳は、全ての脈の集中する場所。腎の経絡に通ずるもの。」とされています。つまりどういうことかといいますと、内臓のバランスが崩れることにより、耳鳴りや難聴の症状が出ることがあるということです。

実際、強いストレスや疲れを感じた時に難聴の症状が出ることもあります。また、胃腸が弱く、下痢と便秘を繰り返している方も注意が必要です。消化器の不調は自律神経のバランスを崩し、それが、頭痛を引き起こして耳の閉塞感や難聴に繋がることもあります。

さらに、のぼせや目の充血、口の中の苦味などの症状が出ることもあるなど、突発性難聴は全身とも大きな関わりがあります。

ふとした時に感じている耳鳴りや、「少し聞こえにくいかも?」という小さな難聴が、時間とともに悪化してしまうことはよくあります。ほんの僅かな聞こえにくさは自分でも気付きにくい部分ではありますが、なるべく早くご相談いただけると幸いです。

◎まとめ

加齢とともに生じる耳鳴りや難聴を完治することは難しいですが、突発性難聴が生じても根気よく「補腎」して身体の中から整えていけば、悪化のスピードに歯止めをかけたり、症状の改善に繋がります。

なるべく「抗老防衰」=老化に抗い、衰えを予防していくことによって、耳だけじゃなく全身の健康を維持することが可能です。老化が早いと、その分、身体に症状も出やすくなります。

耳の養生の5つのPOINT

①    イヤホンやスマホの使用を控える

→コロラド大学生物化学教授のジェリー・フィリップスから、2WHOに「電磁波による長期的な健康被害に関する嘆願書」が提出されたことです。

    ワイヤレスイヤホンは特に危険とされています。

②    自律神経のバランスを整える

③    お砂糖を控える

④    耳が冷たくなる人は耳を温める

⑤    便の状態をよくするために、食生活をかいぜんする

耳鳴りや難聴でお悩みの方は、ぜひご相談だけでもご連絡お待ちしております。