オイルトリートメントのタッチング効果

「タッチング」とは日本語言うところの「手あて」と非常に近い意味合いがあります。

「手あて」と聞くと、ただ手を当てている状態だけでなく、安心感や温かみをイメージする方が多いと思います。

アロマテラピーにおける「タッチング」とは、患者さんに対して安心感を提供する目的で行われる非言語的(言葉を介さない)コニュミケーションのひとつです。

触れるという行為が皮膚の感覚を通じて大脳を刺激し、オキシトシンやエンドルフィンが放出されます。

さらに、マッサージは幸せホルモンと言われるセロトニンを増加させることが、昨今の研究によって解明されつつあるそうです。

なぜ皮膚に触れることで、脳が気持ちよく感じるのでしょうか?

それは「皮脳同根(ひのうどうこん)」。

つまり、「私たちの脳と皮膚は同じルーツを持っている」からです。

私たちの大元である受精卵は、お母さんのお腹の中で細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。

そして3週目には胚葉(はいよう)と呼ばれるものができます。

この胚葉は外側から外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる3層の細胞層から成り立ち、ここからさまざまな器官が作られます。

内胚葉は、主に内臓

中胚葉は骨や筋肉

外胚葉は中枢神経(脳、脊髄)や末梢神経、感覚器(目や耳、鼻や表皮など)を形成します。

つまり、皮膚と神経は、同じ根源である外胚葉の部分から分裂し、形成されます。

生命としての最初の段階で、皮膚と脳は同じところからスタートしているということなのです。

身近な例では、ストレスが溜まったり、イライラすることが多いと吹き出物が出たりと皮膚が荒れた経験がある方は多いのではないでしょうか?

これは脳が受けたストレスが、皮膚に影響を与えたパターンです。

「タッチング効果」はこれとは逆で、皮膚が受けた刺激が脳に影響を与えるのです。

そして「手あて」に近い、安心感を与える優しいタッチングをすることにより、幸せホルモンなどが分泌されるのです。

自然界では動物同士でのグルーミングやお母さんと赤ちゃんの触れ合いも、同様の効果があるとされています。

タッチングによって分泌されるオキシトシンは脳の視床下部から分泌されるのですが、もともとは分娩時に子宮を収縮させたり、授乳の際に分泌する女性特有のホルモンです。

近年は親子の絆を深めたり、信頼や愛情などを育むといった、子育てや人間関係で重要な役割をしていることがわかってきました。

オキシトシンの効果は、穏やかな性格の情緒が安定した子に育つために作用する他、学習力や記憶力の向上にもつながります。

心への影響として、ストレスの減少や信頼感が高まり、愛情が深まるとされています。

身体への栄養として、痛みを和らげ、入眠作用やアンチエイジングにも繋がります。

オキシトシンを分泌させるスキンシップ、すなわち手を握る、肩に手を置く、マッサージは少なくとも5分程行うことで分泌されます。

触れ合いをやめてからも1時間程度分泌が続きます。