鍼治療は癖になる?

患者様に「鍼治療って癖になってやめられなくなるって聞いたのですが本当ですか?」と聞かれることがあります。

確かに「色々な施術を受けた中で鍼治療が1番好き」と仰ってくれる方は多くいらっしゃいます。

鍼治療が好きな方からは、「ズーンと奥に響く感覚が好き」「鍼の刺激が入ると効いている感じがしていい」「鍼治療は効果が長く続くような気がする」等のお言葉をいただく事が多いように感じます。

また、鍼治療は肩こりや腰痛のような痛みだけでなく、痺れ、内臓の不調、自律神経のバランス、皮膚の不調、女性訪問バランスの乱れ等々、様々な症状への治療が可能なので、鍼治療のおかげで調子が良くなったという方が「鍼治療のファン」になっているような方が多いのだと思います。

鍼治療は「クセになる」「依存性がある」と表現される事があります。

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鍼治療をすると痛みなどの身体の不調が改善したのに、治療をやめて時間が経過するとまた症状がぶり返してくる…という身体のパターンがあります。

そのことから、「他の治療法ではなく鍼治療をしないと良くならない」や「鍼治療をし続けなければいけない体になってしまう」と解釈してしまう事は考えられます。

それが「癖になる」、「依存性がある」と誤解して表現されてしまっているのだと思います。

皆様もご存じかと思いますが、人間の身体は歳を重ねるにつれて少しずつ自己治癒能力が低下していきます。

これは老化現象の一つで、特に30歳を境に筋力、心肺機能、内臓など顕著に衰え始めます。

自己治癒能力が衰え始めると、自分の力だけでは痛みや痺れの原因となっている身体の状態から回復できなくなります。

また、どんなに年齢が若くても、疲労の蓄積や筋肉の損傷が激しい場合、自分の力だけでは原因を修復できなくなります。

そのような状態のときに鍼治療をすることで、痛みや痺れ等の症状の改善、自己修復能力向上の手助けをすることができます。

それでも、人間は生きている限り(生活習慣や年齢によって個人差はもちろんありますが)疲労は必ずします。

年齢を重ねれば回復能力は低下して疲労は蓄積しやすくなりますし、生活環境、仕事、趣味などの度合いによっても疲労が蓄積しやすくなるときもあります。

ハードな日々が続いたり、悪条件が重なれば疲労が蓄積して痛みや痺れ、不調が再び発生することもあります。

『治療をやめるとぶり返すから、依存性がある』という訳ではなく、人間の特性上疲労は切り離せないので、生理現象なのです。

調子の良い状態を維持するための手段のひとつに『鍼治療』があり、痛みや痺れ、不調が治るのでハマってしまうのです。

ただ、一度も鍼治療を受けたことがない方が「鍼治療って癖になって止められなくなるらしいよ」と聞くと、違う捉え方で怖く感じてしまうかもしれませんね。

決して鍼そのものに依存性や危険性がある、というわけではないのでご安心くださいね。

そもそも鍼治療は薬を使わず、生体に鍼で刺激を加えて、その反応で体を元気にしようという治療方法になります。

よって、薬の様な害や副作用はないので、依存性や中毒性は無く、鍼治療なしでは生きられないということはないのです。

是非これからも安心して鍼治療を受けて、いい意味で「やみつき」になって下さいね。

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