新型コロナ感染症の後遺症について

「ブレインフォグ」とは?

突然ですが、「ブレインフォグ」と呼ばれる症状を聞いたことがありますか?

簡単にいってしまうと、このブレインフォグは、新型コロナウイルス感染症の後遺症として発生することがある症状のことです。

正確な医学用語ではありませんが、専門外来のある病院も増えつつあります。

新型コロナウイルスの後遺症自体、治療法が明らかになっていませんが、「後遺症かも?」と思える症状は病院を受診して適切な医療を受けることにより緩和することが可能です。

今回は新型コロナウイルスの後遺症のうち、ブレインフォグの症状に絞って詳しく解説していきます。

ブレインフォグとはどんな症状?

新型コロナウイルスの感染症の後遺症は、咳や鼻水、息切れ、味覚障害、下痢、睡眠障害、脱毛、食欲不振、頭がスッキリしない、すぐ疲れてしまう、、、本当に多岐にわたり、個人差が非常に大きいです。

そのうち、頭がスッキリしない・記憶障害にあたるのがブレインフォグです。

直訳すると、脳の霧という意味があります。

その意味の通り、頭の中に霧がかかったように物事が思い出せなくなったり、ぼんやりとしてしまう状態を指しています。

新型コロナウイルスの後遺症の話は度々ニュースなどでも見聞きしていると思いますが、ブレインフォグの影響で、高齢者の物忘れがひどくなっているというケースもあります。

しかし、前述の通り、ブレインフォグは症状を表すものであり、病名ではありませんので、後遺症の数ある症状の1つと思っていただけると良いかと思います。

・常にぼーっとしていて、集中力が持たない

・忘れっぽくなり、物事が思い出せなくなる

・相手の話が右から左へ抜けてしまう

・今までできていたはずの仕事や家事などができなくなる

・生活音がうるさく聞こえる

・常にだるさが抜けず、行動しにくくなる

これらは、うつの症状ともよく似ていて見分けがつきにくいともいわれています。

新型コロナウイルスにしても症状がさまざまあるように、これらの症状も個人差が大きいため、治療法を確立するほどのエビデンスに欠けているのが現状です。

そのため、ブレインフォグなのかを見分けるには、症状の経過を見ていく必要があります。

・やる気が湧いてこない

・気分が落ち込んでいる

・いつもできていることができなくなった

・忘れっぽくなった

新型コロナウイルスに感染した後、このような症状が増えた方は要注意です。

うつ病の可能性も否定できませんが、このような症状がみられたら、まずは、病院を受診してみてください。

今回は、新型コロナウイルスの後遺症の1つとしてブレインフォグを紹介していますが、決してコロナの後遺症特有のもの、というわけではありません。

脳の疲れやストレス、不安、生活習慣の乱れ、生理不順、更年期障害といったケースでもブレインフォグが出る可能性が十分にあるため、生活習慣なども考慮しながら、改善をしていく必要があります。

現段階の研究としては、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染後、認知機能の低下や血液中の炎症性物質に正の相関があるところまでは判明しています。

後遺症として抑うつ状態、慢性的な倦怠感、ブレインフォグなどの症状がみられている時は、感染症に対する生体反応が症状の引き金になっていると予測できるわけです。

病気の感染やワクチンの接種をすると、生体は生体防御反応として免疫反応が出ます。

この反応は、炎症性サイトカインによって、脳を含め、全身に炎症を引き起こす原因となります。

その一方で、私たちの脳には、血液脳関門(BBB=Blood-Brain Barrier)と呼ばれるものあります。

そのはたらきは大きく分けて、脳に必要な酸素、栄養素を血管を通して送ること、脳の中の不要物質を血管に排出すること、血管から有害物質が脳に侵入するのを防ぐことの3つがあります。

血液から、血液脳関門を通って脳に辿り着けるのは、脳の活動を促すブドウ糖やアミノ酸といった小さな物質のみです。

薬のような分子の大きい物質は、脳に送り込めないため、”脳に良い薬”に関しては、未だ研究段階にあります。

脳に薬の効果を届けるのはとても難しいことで、さまざまな病気・疾患の課題ともなっています。

また、血液脳関門は外部の環境や刺激、病気による影響を受けやすい場所であることも分かっています。

◎血液脳関門が影響を受ける原因

血液脳関門に影響を与えるのは、ストレス、加齢、アルツハイマー病のリスク遺伝子とされるAPOE4(アポリポタンパク質E4)などがあります。

以前、国立精神・神経医療研究センターにて行われたマウスの研究によると、慢性的な拘束ストレスを与え続けると、海馬や扁桃体の血管中の物質透過性が増えることが判明しました。

通常は分子が大きく入り込めないタンパク質が脳に入るとなると、脳の炎症や神経活動、認知機能などに悪影響を及ぼします。

また、2020年には、APOE4ががあると、脳の記憶、感情、行動の司令塔となる海馬と内側側頭葉にある血管脳関門が壊されることが分かるなど、研究は少しずつ進んでいます。

例えば、これを保有している人は、アルツハイマー病の原因物質となるアミロイドβやタウの蓄積とは別のところで、認知症発症前に血管脳関門が壊され、認知機能が低下している可能性もあります。

すでに認知機能の低下がみられている高齢の患者さまなどの場合は、この破壊がより重度になりやすいともいわれています。

高齢者ほど判断の難しい部分ではありますが、コロナ感染後なのか、そうでないのかは重要なポイントになりそうです。

◎脳の炎症が引き起こされると、どうなるのか?

脳の炎症が起きると、脳内で最も活動しているワーキングメモリに大きな影響を与えます。

このワーキングメモリが何らかの理由により正しく活動しない状態が、「ブレインフォグ」と呼ばれる状態です。

自律神経の乱れも慢性疲労症候群も、うつ病も、根本の原因は脳の炎症、障害になります。

近年はそこに、ワクチンの副作用、新型コロナウイルスの感染症が加わってしまったような形です。

話は少し変わりますが、現代人に多いうつ病は、脳の慢性炎症である”神経炎症性”ではないか?という仮説が注目されています。

とくに世界では、うつ病=セロトニン不足という考え(モノアミン仮説)だけでは説明しかねるといわれ始めているからこそ、この仮説に注目が集まっています。

私たちの脳内環境は、血管脳関門によって一定に保たれていますが、ストレスや加齢、一部の遺伝子の影響ではたらきが鈍くなると、脳内に有害物質が入り込みやすくなり、結果、認知機能の低下を助長させてしまうことがあります。

病院を受診するという考えも非常に大切ですが、生活習慣も原因の1つとなりますので、

① なるべくストレスが溜まらないように適度に解消する

② 脂質や糖質を抑え、ビタミンやミネラルなど、食生活のバランスを整える

③ 規則正しい生活を心がけ、自律神経のバランスを整える

この3つはとくに気をかけ、ご自身の日々の生活に取り入れていっていただけると幸いです。

私たちのブレインフォグに対する施術方法は、大きく分けて3つです。

① 頭に鍼を刺して、弱い電気を流す

② 温熱を利用したデトックス

③ 食生活の改善指導

新型コロナウイルスの後遺症、とくにブレインフォグの症状にお悩みの方は是非1度ご相談ください。