鍼灸とは「はり」や「お灸」を使って身体に刺激を入れ、自然治癒力を引き出し、痛みや病を改善する2000年以上の歴史がある伝統的な施術方法です。

鍼灸は中国で広まった「東洋医学」の治療法のひとつで、薬のなかった時代は生薬と鍼灸が医学の中心でした。6世紀頃に日本に伝来して以降その優れた効果から日本でも定着し、江戸時代まで広く用いられていました。

東洋医学は人の身体は気・血・水分によって構成されていると考えられています。五臓六腑が正しく働き、気・血・水分が過不足なくバランスよく巡っている状態が健康だと定義しています。

鍼灸は脈や舌、お腹などの状態から症状の原因を割り出し、適切なツボに刺激を入れることで体内のバランスを正し、病を改善させていきます。

この東洋医学ですが、近年は科学が発展しなぜ鍼灸で効果があるのかも少しずつ解明されてきました。

鍼灸の特徴として必ず皮膚を通じて刺激を入れていきます。受精して細胞分裂を繰り返す中で私達の身体は作られていくのですが、皮膚は脳や神経と同じ「外胚葉」という細胞から作られています。

このことから皮膚は「第3の脳」と言われ、皮膚への鍼灸による刺激は脳に働きかけることが分かっています。

例えば肩こりによるズーンとした痛くつらい感覚と、さすられて気持ちの良い感覚はそれぞれ違う神経によって感覚を伝えています。

痛くつらい神経の繊維よりさすって気持ちのよい神経の方が太く、伝達速度も速いため痛みの感覚がさすることによって弱くなります。痛いところをさすったり叩いたりして楽になるのはこのような神経の仕組みがあるのです。これをゲートコントロール説と言います。

鍼灸はさすったりする方の神経を強く働かせることで痛みの改善を可能にしています。鍼に電気を流すのも同様です。

その他に鍼灸の刺激は脳からβエンドルフィンといった神経物質の放出を活発化させます。

βエンドルフィンは「気持ちよさ」「多幸感」なの感情への作用や、痛みの鎮痛作用があり、治療にあたりとても有用な物質なのです。 鍼灸によって身体がリラックスすることで血行が促進され筋肉がゆるみ、ストレスレベルが下がっていきます。それにより自律神経のバランスが改善し、内臓の働きが整い身体の内側から元気になっていくのです。